このエントリーをはてなブックマークに追加

PROTO総研/カーライフ トピックス

「自動運転もここまできたか!」そんなことを思わせてくれる実験がこのほど神奈川県の藤沢市で行われました。IT大手の「DeNA」とロボットベンチャー企業の「ZMP」が共同で設立した「ロボットタクシー(本社 東京)」が、2016年2月29日、自動運転技術を搭載した車両で、無人のタクシーサービスを目指した実証実験を行ったのです。「実証実験」というだけあって、その内容はユーザーを想定した一般市民が参加し、実際に乗車して行われるなど、現実的な運用を強く意識させるものとなっていました。【2016.4.1更新】

 

ロボットタクシーが一般参加者を乗せて実験! 2016.4.1

一般市民がモニターとして参加

「自動運転」という言葉、おそらく皆さんも耳にしたことがあると思います。大手自動車メーカーのみならず、GoogleといったIT企業などが近い将来の実用運転を目標に掲げて、今まさに開発にしのぎを削っている分野です。今回の実験は応募により選出された藤沢市に住む10組およそ50名のモニターが乗客として参加したもので、「一般のひとが乗車して公道を走行する」という世界でも類を見ないものとなりました。実験は3つのステップから構成され、まずロボットタクシーの公式サイトから利用者がスマートフォンなどで「配車予約」を行い(ステップ1)、次にタクシーが利用者の自宅に到着(ステップ2)、そして乗車して目的地である大手スーパーのイオン藤沢店まで走行(ステップ3)する流れとなります。藤沢市の西側では高齢者の割合が高く、実験区間には商店などが少ないことから日常的な買い物に不便を感じるひとが多いとされる地域です。ロボットタクシーでは、今回の実験の目的として「社会的受容性の向上」、「一般参加モニターの体験から得られた交通サービスに対する知見の蓄積」、さらに「一般道における走行実験による自動走行技術の向上」の3点を掲げています。

 

 

「配車予約」はスマートフォンなどでホームページから簡単に行え、あとは自宅まで迎えに来たロボットタクシーに乗り込むだけ。無事に目的地まで送り届けてくれます。駅やバス停から離れた住宅地に住むひと、高齢者など交通弱者にとっては非常に便利な交通手段となり得るでしょう。

 

 

20160305_03

無人タクシー実現に向けての大きな足がかり

自動運転の度合いは現在、下の表のように「4つのレベル」に分類されています。自動ブレーキなど安全運転支援システムの「レベル1」から、運転者がまったく関与しない完全自動走行システムの「レベル4」までとなります。

level

今回の実験は、準自動走行システムの「レベル3」に分類されるわけですが、ロボットタクシーが目指すのは、「レベル4」です。走行実験は、イオン藤沢店と北部バスロータリーの間の公道2.4kmで実施され、自動運転は実験区間のみで、住宅地などはドライバーが運転しました。また現在では、無人運転での公道走行は原則、国際条約や道路交通法などで禁じられているため、ドライバーとシステムを監視するスタッフが同乗しました。ロボットタクシーにとって公道での自動走行実験は今回が初めてでしたが、参加したモニターの反応は上々で、多くのひとが未来的な技術を目の当たりにして興奮気味なのが印象的でした。ロボットタクシー代表取締役社長の中島宏氏は「今回の実験は実用化に向けた大きな一歩。地域住民の方々もご協力してくださり、ロボットタクシーへの期待は大きいので、何とか実現させたいです」と熱く語りました。

 

20160305_07

 

今回の実験では、安全のために運転者とオペレーターが同乗し、万が一の事態に備えて緊急停止ボタンも装備します。しかし、ご覧の通り、車両は周囲の状況などを認知して自動で走行しています。

 

 

先進テクノロジーの結晶「ロボットタクシー」

20160305_09

実験車両は国産のミニバンで、フロントグリルの中央部にミリ波レーダー、車両の前後左右にセンサー、そしてルーフにGPS、ルームミラーの下にカメラなどが 取り付けられて周囲の状況を感知する仕組み。GPS情報と詳細な地図データを組み合わせることで、数cmの単位で車両の位置特定が可能となります。さらに歩行者や周囲の車両、信号、標識などを認識し、コンピューターが判断して、アクセルやブレーキ、ステアリングなどが制御されます。最新技術が集約されているのです。

20160305_10

20160305_11

20160305_12

 

700万人の交通弱者のために

ロボットタクシーの中島氏は、「自動運転の実験については、これまでは法律上も曖昧な点が多かったのですが、行政をはじめ多くの方の協力を得て踏み出すことができました。2020年の完全自動運転実現に向けて進んでいきたいです。もちろん、東京オリンピックに合わせることも大切ですが、実際には地方で不便な思いをされている交通弱者の方が700万人以上いるので、その方々を救っていけるサービスの実現が本来の目的です」と抱負を語り、大きな手応えを感じているようでした。ロボットタクシーは、高齢化社会の移動手段として有効かつタクシー会社の人手不足も解消するなどの利点が注目されています。

藤沢市での実証実験は3月11日まで行われました。そこで得られた情報をもとに安全面、車両性能などについて検証が行われ、第二弾として、宮城県仙台市内の東日本大震災被災地で実証実験が行われます。DeNAのインターネットサービスにおけるノウハウと、ZMPの自動運転に関する技術を連携させた新しい交通サービス「ロボットタクシー」。その開発は目下予定どおりに進んでいるとされ、当初の目標どおり2020年の完全自動化を目指しています。現在「日本産業再興プラン」のひとつとして「完全自動走行に向けた国家戦略特区プロジェクト」が内閣府主導で行なわれていますが、ロボットタクシーの事業もそれに沿ったものとして多くの関心を集めています。

 

ロボットタクシーについては、今後も引き続き注目し、さらに詳しく紹介していきたいと思います。

 

 

参照:

⬛︎ロボットタクシー公式サイト
https://robottaxi.com

⬛︎DeNA公式サイト
http://dena.com/jp

⬛︎ZMP公式サイト
http://www.zmp.co.jp

 

 

レポーター

2016020202

PROTO総研 研究員
天野良香