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輸入車カスタマイズトレンド傾向

9月のフランクフルトショー、そして10月の東京モーターショーと、今年の秋は自動車業界大忙しとなったのですが、ご多分に漏れず私も両方のショーを取材しました。今回のショーはいずれのメーカーも今後の方向性を明確にした雰囲気でありました。

【af imp.編集長コラム】コンセプトカーや新型車に見るドレスアップの新展開 2017.11.21

まずはフランクフルトショー。さまざまな媒体で既報のように、どのメーカーもEV/PHEVへのシフトを明確に示していました。とはいえ、ガソリンとディーゼルを積んだ化石燃料車両の販売をすぐに止められるわけもなく、並行してやりつつもマイルドハイブリッド(モーターのみの走行はできず、モーターとエンジンの併用走行ができるハイブリッド車両)でシェアを拡大しようという姿勢です。でも彼らが上手いのは、やっているフリです。シフトしますよ、といいつつコンセプトカーや市販車だけでなく、ちゃんとアプローチの違うものを用意していることです。例えば、ジャガーはi-Paceをベースにしたレーシングカーを展示していました。EVのレースというと、フォーミュラーEが先陣を切っている感がありますが、ガソリン含めてレース自体の人気がまだ高い欧州ですから、独自のEVレースシリーズを企画してEV車両自体を浸透させようという魂胆でしょう。日本だと「EVはエコです。環境に優しいです。」という角度から入りますが、レースから入っちゃおうというのが、いかにも欧州らしいですね。

 

i-Paceをベースにしたレーシングカー。EVでなおかつSUVでレースというコンセプト自体が面白いですね。メーカーはユーザーの興味を惹こうとあの手この手です
i-Paceをベースにしたレーシングカー。EVでなおかつSUVでレースというコンセプト自体が面白いですね。メーカーはユーザーの興味を惹こうとあの手この手です

ちなみにFIAは電動レーシングマシンによるレースの開催に結構前向きだと聞きます。何故かというと、サーキットにお客さんを集めるのが大変なので、人口密集地である都市に市街地コースを作ってレースイベントを開催すれば観客動員も望めるし、お客さんも楽でしょう。でも市街地でエンジン音をバンバン響かせて行うレースというのに対して、抵抗がある人も少なからずいます。そこでEVの出番というわけです。静かだけど速い。都会のビル群を電動のレーシングカーが駈け抜けるという絵ヅラも良さそうです。もちろん環境にもいいし、企業アピールもしやすい。そんな市街地EVレースが、フォーミュラーEも含めて増えていくのではないでしょうか。

 

メルセデスAMGプロジェクトワンのコンポーネンツと、ブガッティ・シロンのエンジン。どちらも3億円オーバーのマシンですが、エンジンのサイズが違いすぎです
メルセデスAMGプロジェクトワンのコンポーネンツと、ブガッティ・シロンのエンジン。どちらも3億円オーバーのマシンですが、エンジンのサイズが違いすぎです

以前はチューナーもブースを構えていましたが、今年はBRABUSとIMSA、そしてスターテックと寂しい展開でした。すでにメーカーの域に達しているBRABUSは、チューンドメルセデスをずらりと並べつつ、EVスマートをベースとしたチューニングモデルを発表し、こちらでも電気がキーワードなのでありました。EV全盛になってくると、チューニング業界も様変わりしていくのでしょう。一方のIMSAはというと、AMG GTをベースにしたコンプリートカーを展示するなど、ランボルギーニチューナーだった過去をまったく見せずにメルセデスへと要旨変えしたようです。レース参戦の方もメルセデスに切り替わっていました。生き残りを掛けて、新しいことに挑戦して行っているのでしょう。

 

ブラバスのロケット900 SカブリオレとイムサのRX-ONE。チューナーの域を遙かに超えた超絶のコンプリートマシンが並んでいました
ブラバスのロケット900 SカブリオレとイムサのRX-ONE。チューナーの域を遙かに超えた超絶のコンプリートマシンが並んでいました

さて続いては東京モーターショーです。こちらは国内メーカーの内部漏洩によって不正が表沙汰になったこともあって、マイナスのニュースが先行してしまいました。海外メーカーは出展しないところも少なくなく、出展してもIAAでワールドプレミアしたクルマのアジアプレミアに終始する状態。同日に発表されたBMW X2も会場にはなく、こちらもちょっと残念な感じでした。とはいえ、2年に1回のお祭りですから、新車目線ではなくカスタム目線で眺めてみると、これがなかなか面白いのです。新車とカスタムは、実は結構相関関係がありまして、例えばカスタムでやっていたことが新車に取り入れられたり、コンセプトカーでやっていたデザインを引用したようなカスタムがあったりと、アイディアが行ったり来たりしているように思えます。
 

アウディが出展したエレーヌ。4つ輪エンブレムの処理の仕方は独特。アイデンティティですら形を変えて見せてくるのがコンセプトカーですね
アウディが出展したエレーヌ。4つ輪エンブレムの処理の仕方は独特。アイデンティティですら形を変えて見せてくるのがコンセプトカーですね

ホイールのデザインやフィニッシュの仕方、カーボンの使い方やちょっと変わったボディの表面処理など、コンセプトカーだからこそ使える飛び道具的なアイディアを色々な所で見ることができました。中には市販車でかなり特殊な仕上げをしているクルマもあって、攻めているなぁと。それはもうカスタムの領域ですよね?というメイクが見られたのも収穫でありました。カスタマイズに軸足を置いている我々としては、メーカーのクルマの中にそういうディテールを見つけると、ちょっと嬉しくもなったりします。次はどんなメイクが行われるのか、楽しみです。

 

BMWの出展したコンセプトZ4。かなりコワモテでエッジの効いたデザインですが、これからのBMWがこのように変貌していくという道筋を表しているクルマです
BMWの出展したコンセプトZ4。かなりコワモテでエッジの効いたデザインですが、これからのBMWがこのように変貌していくという道筋を表しているクルマです

2つのショーを見てきましたが、やっぱりモーターショーはワクワクする空間です。特に東京モーターショーについては出展メーカーが少ないとか来場者数が伸び悩んだっというネガティブな論調が見受けられますが、もちろんちょっと未来のクルマの仕組みを知ることも楽しいと思いますし、見方を変えればとっても面白い空間であることは間違いありません。

 
 

af imp編集長 熊崎圭輔