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世界初のAMG専売拠店開設でいかなるマーケット戦略か

2017年のカスタムシーンは1月の東京オートサロン、そして2月の会期を終えたばかりの大阪オートメッセで華々しいスタートを切りました。輸入車カスタムではスーパーカーなどのスペシャルティカー人気の傾向を顕著に感じました。車両価格ン千万円カークラスが当然のように改造のターゲットになっているのです。我々で言うところの「ニッチなマーケット」で、高級品としてカスタムパーツが確立しているということです。

【オンリーメルセデス編集長コラム】世界初の正規AMG専門店オープンでさらにパワフル戦略 2017.2.15

Ⓒ Nacása & Partners Inc

なぜ、日本が最初なのか。なぜ、世田谷なのか

さて、今回はメルセデス・ベンツのチューナーでグローバルなアイコンとして有名なAMGを取り上げようと思います。年明け早々の1月13日に東京都世田谷区に世界初のAMG専売店「AMG東京世田谷」がオープンしました。プレイベントにドイツ本国のメルセデスAMG社からトビアス・ムアース社長が駆けつけ、インタビューすることができました。

日本はメルセデス・ベンツにとって世界でもアメリカ、中国、ドイツ、イギリスに次いで5番目のマーケットだそうです。一方で昨年2016年度のAMG車の日本での販売台数は5600台を超え、対前年比は驚くべきことに21%超の過去最高記録を達成。取材の現場からもAMGブランド人気の高さは痛感していましたが、ドイツ本社でも魅力的な市場に映ったのも当然かもしれません。同様の構想は他国からも提案されたと言います。「日本とAMGは永い歴史があり、乗り続けてくださるカスタマーがいる。何度かのディスカッションをメルセデス・ベンツ日本や、販売店と持つようにしています。そこで世田谷というエリアを知り、可能性の高さを理解しました」という。名乗りを上げたシュテルン世田谷はメルセデス世田谷南や東名横浜など7拠点を有する国内販売網でも折り紙つきの実力グループです。前述のディスカッションにおいて「3~4年先のポートフォリオにおいてもいろいろなアイデアを与えてくれました。そんな協力関係を誇りに思っているし、素晴らしきパートナーである板東徹行社長の合意を得てオープンすることができ、感謝している」とムアース社長は言う。

トビアス・ムアースAMG社社長

トビアス・ムアース社長

 

東京・世田谷から発信されるAMGブランド戦略

同店には建築中から他社ブランドのユーザーが見学に来店し、オープンしてすぐに(実質2週間程度で)メルセデスと全く関係のなかったユーザーから2桁近い受注があったそうです。これも驚きですが、やはりわかりやすいアイコンを取り入れた外観と、一見クローズドされた特別感という建屋の演出も見落とせません。店舗のコンセプトは「サーキットの臨場感が楽しめるよう、雰囲気やスピリットを残しながら、パフォーマンスカーのディーラーとして洗練されたデザインも心掛けました」とムアース社長。確かにサーキットのパドックを思わせる壁、柱。さらにはフロアもサーキットを思わせる素材で演出するなどのこだわりが見受けられます。AMGは自社のラインナップで約50モデルを用意しています。そのすべてを常時ショールームに展示することは不可能なので、AMGの世界観というものを、いかにカスタマーに伝えるかが非常に重要なテーマになります。「市場ではモータースポーツやハイパフォーマンスカーに対しての興味がさらに強まっていると考えています。AMGのルーツはモータースポーツですから」と同社長。その象徴として昨年、AMGのラインナップに新たに43シリーズが加わったということなのでしょう。

A&B

ドイツ本社の社屋デザインをコンセプトにした外観は、AMGのロゴが目に飛び込んできます。エンクローズドストラクチャーと呼ばれる囲まれた構造の建物はエントランスを街道側に置かず、横に回り込んでエントリーするスタイルです。

 

レース生まれのAMGのEV戦略は? 1000馬力超えのHVを9月発表か!?

電気自動車やプラグインハイブリッド車などについては、「環境問題は常に考えているところで、世界や地域の排出ガス規制については十分に調査しています」とムアース氏。「今年9月のフランクフルトモーターショーで、50周年記念の一環としてハイパーカーを登場させる予定です。これは、1・6リッターのF1エンジンのような効率のいい内燃機関と、4つのモーターを備え、総合出力は1000馬力以上になるでしょう」とリップサービスも飛び出ました。考えてみれば、パワートレーンを電動化することで、さらに強力なパワーを得ることができ、効率も良くなります。このプロジェクトはAMGの「将来の考え方や、将来のハイパフォーマンスカーの姿を示しています」と踏み込んだ回答をしてくれました。エコを置き去りに加速できるのがAMGの魅力ですが、エコに踏み込んだAMGもまた楽しみですね。

グリーン・ヘル・マグノメルセデスAMG GT R

ムアース社長来日時は驚くべきことに国内発表前の新型メルセデスAMG GT Rがドイツより搬入されていた。「グリーン・ヘル・マグノ(緑の悪魔)」と呼ばれる特別色のモデルはAMGファンならずとも注目です。

 

 

著者プロフィール オンリーメルセデス編集長 内海洋一