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新車販売台数に物申す!

日本自動車販売協会連合会から発表される新車の販売台数、車種別ランキングから見えてくる、各メーカーの戦略や市場のニーズ、中古車市場への影響などについて、自動車評論家でありカーマニアの清水草一が思うところを物申す!

【清水草一コラム】謎の多いスズキの新車販売 2016.12.9

スズキ バレーノ

現在国内で販売されている国産車はいった何モデルあるのか? 数え方によっても違ってくるので数えないが、登録車だけで150車種くらいになるだろう。
それだけ数があれば、極端に売れていないモデルも当然出てくる。
2016年10月は、前年同月に登録があったモデルのうち、3車種が登録台数「0」を記録した。うち2車種がスズキで、具体的には「キザシ」と「ランディ」だった。

スズキ ランキング

スズキ キザシ

スズキ キザシ

スズキ ランディ

スズキ ランディ

キザシはスズキの最高級セダンとしてグローバル展開されたが、世界中で極端な販売不振。もちろん日本でもまったく売れず、在庫処分的に多くの台数が警察庁に納入された。用途は捜査用車両、つまり覆面パトカーだ。
覆面と言っても高速道路の速度取締り用ではなく、張り込みなどに使われる「私服用セダン型無線車(2000㏄)」というモノらしい。その台数は合計約900台! 国内で販売されたキザシの半数以上がコレなので、キザシが止まっていたらそれは私服刑事の張り込みの確率が50%以上! ということなる? これじゃバレバレ過ぎて覆面の意味がないのではないだろうか……。
入札価格は1台あたりたったの95万円だったというから、警察の予算節約には大いに寄与したはずだが、それで検挙率が落ちてしまったら元も子もない。
そんなキザシも、2015年10月に生産を終了し、その後は本当の在庫処分のみ。7月に最後の1台(たぶん)が登録されたが、その後は0台が続いている。
ランディは日産セレナのOEM車。セレナのモデルチェンジに伴ってスズキへのOEMも終了し、栄光の0台が記録された。販売が終了しているのだから当然と言えば当然だが。

スズキの登録車には謎が多い。たとえばSX4 Sクロスとエスクード、エスクードの旧型であるエスクード2.4を併売している。Sクロスとエスクードはどちらも1600㏄のSUVで、サイズもかなり近い。その上旧型エスクードもまだ売っているというのは実に不思議だ。
販売台数は新型エスクードが一番多く、この10月は247台。続いてSクロスが92台、先代エスクード2.4が35台となっている。台数を見ても、新型エスクードだけでいいのではないかという気がする。余計なお世話だろうが、その方が経営効率はいいはずだ。

スズキ 新型エスクード

スズキ 新型エスクード

スズキ エスクード2.4

スズキ エスクード2.4

スズキ SX4 Sクロス

スズキ SX4 Sクロス

さらに、バレーノを日本市場に導入したのも謎である。このクルマ、インドでは大ヒット中だが、日本市場での競争力はすべてが「?」。エクステリアもインテリアもディープ・アジアチックで、同クラスのライバル車と比較したらまずバレーノを選ぶ人はいまい、と思える。エンジンの3気筒1リッターダウンサイジングターボは実によくできているが、ハイオク仕様というのはあまりにも痛い。
正直「売れっこない」と思っていたが、意外や意外、10月の登録台数は498台。3月の導入以来、2016年通年では4275台も売れている。いったいどういう層が買っているのか、私にはまったく見当もつかない。

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清水さんプロフィール