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PROTO総研/カーライフ インタビュー

2010年に量産車として初めての電気自動車として誕生、2016年には世界累計販売20万台を達成した「日産リーフ」が2017年9月に初のフルモデルチェンジを受け、新型として登場した。電気自動車として航続距離を400km(JC08モード)と大幅に伸ばすとともに、日産のブランド戦略である「ニッサン インテリジェント モビリティ」をけん引するモデルとしても期待される。今回は、日産自動車株式会社 日本EV事業部部長でリーフのチーフ マーケティング マネージャーを務めた小塚功子さんを迎え、新型リーフ開発のねらい、そしてプロモーション活動について話を伺った。

自動車のあり方を大きく変える 日産 新型リーフに秘められた先進性 2017.12.19

航続距離よりも力を入れた新型リーフが備えた価値とは

(出演者すべて敬称略)

宗平 小塚さんは2017年9月にフルモデルチェンジした新型リーフのマーケティング部門の責任者として、主にコミュニケーションの分野で携わっていらっしゃるとのことですが、まず新型の見どころについてご紹介いただけますでしょうか。

小塚 新型リーフにつきましては、一般的には電気自動車がさらに進化したというように受け止められがちですが、私たちとしては、自動車というカテゴリーそのものが進化したと捉えています。電気自動車の進化という側面で新型リーフを見ると、「バッテリーが大きくなって、航続距離が伸びた。以上」です(笑)。しかし、じつは私たちがもっとも力を入れたのは、新型リーフにこれまでにない先進技術を搭載することだったのです。新しいリーフは、電気で動くというところは初代と同じですが、クルマを動かす楽しさはさらにパワーアップしています。そのために様々な先進技術を詰め込んでいる。それがポイントなのです。

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宗平 新型リーフに搭載されている先進技術と言いますと、ワンペダルで完全停止まで操作できる「e-Pedal」や運転支援技術「プロパイロット」に追加された自動駐車機能である「プロパイロット パーキング」が印象的でした。航続距離などといった性能面の進化よりも、新型リーフに乗ることで得られる体験、経験を重視したコミュニケーションに注力されたということですね。

小塚 そのとおりです!

宗平 だとすれば、まさしく私は小塚さんの想定どおりに行動してしまいました(笑)。とくに「e-Pedal」は、ハードや技術がどうこうではなく、体験として凄い。試乗会から帰ってきて、いろいろなひとに「e-Pedal」のことを話しました。私もたくさんのクルマに乗ってきたつもりでしたが、ワンペダルでクルマを操るというのは、これまでになかった新鮮な体験だったからです。試乗中に、高速道路でインターチェンジを降りるような想定シーンがあったのですが、そのときにもアクセルを離すだけで、まるでブレーキでコントロールしているように自然に車速が落ちる。その完成度の高さに感動しました。
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「e-Pedal」によって、かつてない運転体験を提供。写真:日産自動車

小塚 ありがとうございます。新型リーフのプロトタイプができあがったときに、私も試乗する機会がありまして、そこでスラローム走行をやることになったんです。コース上にパイロンが並べてあって、その間を走り抜けるというものです。最初は普通のクルマと同じように、アクセルとブレーキを使って走行を行いました。スタッフからは、できるだけスピードを出してクリアしてくださいと言われるのですが、そうするとハンドル操作だけでは曲がりきれないので、ブレーキを踏んだり、アクセルを踏んだりと、とっても忙しい。最後にはもうヒステリックな気持ちになってしまいました(笑)。ところが「e-Pedal」で運転すると、ペダルを踏み換える必要がないから怖くないし、自然にスピードを出して走ることができたんです。

宗平 ハンドル操作をしながら瞬時に足を踏み替えてアクセルやブレーキを操作するという、運転が上手なひとにとっては自然にできることが、運転に慣れていない方や苦手意識を持っている方にとってはストレスになる。そうしたご自身の体験が、プロモーション活動にも活かされたというわけですね。ユーザーからの反響はいかがですか?

小塚 試乗していただいた方からは、これまでにない体験だと高評価をいただいております。すでに発売されているノートeパワーにも、ワンペダルで減速をできる仕組みを採用していましたが、新型リーフではさらにシステムが改良されて、滑りやすい路面では自動的に後輪にブレーキをかけることにより、より安全にスピードを落とせるようになりました。

宗平 電気自動車には、環境問題をクリアするための選択肢というイメージがあります。しかし新型リーフは、高性能なエコカーとして持続的なモータリゼーションに寄与するだけでなく、新しい運転体験を提供するというレベルにまで昇華している。そこに大きな価値を感じます。

小塚 ありがとうございます。リアルワールドにおける利便性という側面でも、「e-Pedal」にはさまざまなメリットがあります。たとえば、大型ショッピングモールに併設されている駐車場を利用する際に、長いスロープを登っていくことがありますよね。週末になって混み合うと、どうしても坂道発進を繰り返すことになって、運転を苦手とするひとにとっては緊張するシチュエーションです。ブレーキを離した瞬間にクルマが下がろうとするのがとても怖いからです。でも、「e-Pedal」であればアクセルを離した状態でクルマが停止するのです。

宗平 それはとても嬉しいことですね。嬉しいといえば、駐車を補助してくれる「プロパイロット パーキング」についても、自動運転につながる機能として、多くの消費者が注目することになったかと思います。

小塚 駐車の自動化については、すでにエクストレイルやセレナに採用されている「インテリジェントパーキングアシスト」で、ハンドル操作の自動化を実現していました。お客様からのフィードバックとして実際に使ってみてのご感想やご意見を頂戴していましたので、改良を行い今回進化した「プロパイロット パーキング」という形で採用しました。より実用的な機能になったと思うのですが、宗平さんはお試しになられましたか?

宗平 はい。体験させていただき、その仕上がりには素直に関心しました。私は新型リーフについて、自動車の歴史を俯瞰して眺めたときに、大きな変化のターニングポイントのひとつとして評価される存在になるのではないかと考えています。それくらい「e-Pedal」や運転支援技術の充実に価値を感じました。

小塚 「プロパイロット パーキング」については、販売店に必ず試乗に盛り込むようにお願いしているのですが、駐車が苦手な女性などを中心に購入の後押しになったという嬉しい報告もありますし、運転が得意なお客さまからも、先進的で高い技術を感じさせるという感想を頂戴しております。
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「プロパイロット パーキング」は女性ユーザーからも高評価。写真:日産自動車